人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

近日発売した玄田有史先生の本をはじめとして、この問題についていろんな意見を調べてみた:
(本は買ってないので、ネット上のレビューと関連文章を載せる)

「これだけ人手不足と言われていて、春闘でも4年連続で有額のベースアップが実現しているのに、マクロの数字を見るかぎり賃金上昇がはかばかしくない」

玄田先生が編集した本では「労働需給」「行動」 「制度」 「規制」「正規雇用」「能力開発」「年齢」の七つの切り口のどれか(複数もあり)を中心に展開、もちょっと簡単にまとめると

「労働需給の構造」(労働需給/正規雇用/能力開発):

「実はミクロでは総じて賃金は上がっている(非正規比率の上昇や内転効果で上がっていないだけ)」
「実は人手不足ではない(不足しているのは低賃金の人手/高年齢者や女性にはまだ供給余力がある」
「非正規比率上昇などにより人的資本形成に遅れ」
「人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊が原因なんだと説きます。企業から見たら、人手不足だけれど本当に欲しい人材がいないからだと。」
「国際競争部門の動向が非国際競争部門にも波及」

「賃金の調整は時間がかかるもの」「現実にはおそらくこれらの要因が複合的に絡み合って現状があるのでしょうが、個人の当面の感想としては経験的に賃金に限らず雇用関連の調整には時間がかかるという実感はあり、(留保賃金が比較的高い)団塊ジュニアのボリュームゾーンにまだ供給余力が若干残っているのではないかと思っているので賃金が大きく上げるにはもう少し時間がかかるかな」

「賃金硬直性」(制度/規制):

「所定賃金は人員過剰時に下げにくい分人手不足にも上げにくい」
上方硬直性:景気が悪くなっても賃金が下がらない現象を下方硬直性と呼ぶならば、景気がよくなっても賃金が上がらない現象は上方硬直性ですね。
→ 下方硬直性:過去の不況期に賃下げに苦慮した企業ほど、景気回復期に賃上げを控える傾向にある可能性、すなわち「名目賃金の上方硬直性」は「名目賃金の下方硬直性」によってもたらされている可能性があることを指摘する。

また非正規雇用を含む一定的に日本特有な社会現象

「日本の非正規雇用が身分制が強く、生活保障の必要性が正社員との格差の正当化理由だったのに、能力という別の正当化ロジックで都合のよい使い分けがされてきた」[1]

「事実認識として結構衝撃的なのは、第4章(黒田)が示す、就職氷河期世代が見事に低賃金のまま今に至ってきているというデータでしょう。
2010年から2015年にきま給の変化を学歴別年齢階層別に見ると、高卒と高専短大卒で35-39歳層、大学大学院卒で35-39歳層ととりわけ40-45歳層でぐっと落ち込んでいるのです。これはつまり上のコーホートよりも低賃金になったということで、就職氷河期世代が被った「傷痕」効果は極めて大きなものであったことが分かります。」

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また玄田先生が参加した厚生労働省の2015年7月24日 第6回雇用政策研究会にもこのテーマ、特に正規/非正規雇用について議論されたようだ:

○橋本委員:。。。以前にこの研究会で、人手不足なのになぜ賃金が上がらないのかという議論があったことを思い出しました。。。この点について、日本の場合は賃金格差の問題が、職種の問題と正規・非正規の格差とが複合しているところが特徴で、その問題について、非正規労働者を正社員にキャリアアップを支援するべきだ。。。非正社員について「人的資本蓄積の減少やそれに伴う生産性の低下、企業収益の減少・消費の停滞といった経済の悪循環につながりかねない」と書かれていて、この人的資源の最大化ということで、正社員化を促すべきだということも書かれているわけですが、ここを読んで、そうすれば全てその問題が解決するのだろうかという素朴な疑問を感じました。。。。労働者の過不足状況のグラフがありますが、ここでパートタイムの不足感が強いというところで、卸売、小売業、飲食業等が挙げられていますし、この図表とも今の論点は関係するかと思っております。つまり、パートの正社員化を進めても、もともとその仕事でパートしかない仕事というのもあると思うので、その問題を扱わなくていいのかどうかということが疑問としてありました。

。。。私が勉強しているドイツでは、正規と非正規の格差というのはほとんど問題にならないのは先生方も御存じのところなのですが、やはり賃金格差の拡大というのが大きな問題になっており、それが低賃金職種の拡大の問題なので、それに対する対策としては最低賃金の引上げが考えられているのかと思うのですが、その問題を報告書を読んで感じました。

。。。私自身は長時間労働を抑制するのはとても重要だし、現状において過重労働の問題がこれだけ深刻になっていますので、今、長時間労働をやめさせようというときに、そのための方策として業務量も見直していくべきだという点を指摘すべきではないかと思いますので、ここはむしろ重要なところなのではないかと感じました。

○中井雇用政策課長 。。。賃金がなぜ上がらなかったのかという話については、例えば 6 ページの辺りに分析結果を引用しながら、この間、賃金と生産性で乖離は見られた指摘をさせていただいたり、 22 ページの辺りでも「賃金の改善について」ということで、動きをいろいろと書かせていただき、なかなか解がこれだと言い切る自信のない。。。

○玄田委員 。。。2 月に発表された暫定版、速報版を見ると、正社員よりは正社員以外のほうが賃金は伸びている感じ、男性よりは女性のほうが賃金は伸びている感じ、全般的には中高年女性の正社員以外の賃金が伸びている感じはします。職種までは細かいところは見えていない、規模別には余り特徴がない感じがします。。。

それと併せて、人手不足なのだけれども、 60 代以上の特に男性の賃金が下がっているのは、そこは就業率の拡大のところと関係しているので、その部分に関して言えば、若干供給圧力の大きさが賃金の引き下げ圧力になっているし、就業者の高齢化ということになると全体への賃金の引き下げ効果も大きいから、それがとても大きいように見えます。

もう 1 つは、黒田さんには少し言ったことがありますが、賃金が下がって見えるのは、第 2 次ベビーブーマーが非常に賃金の伸びに苦しんでいるように見えます。つまり、就職氷河期世代で入って、長時間労働を経験し、場合によっては十分な教育訓練を受けなかった結果として、 40 代に入っても余り賃金が伸びていないとすれば、それは冒頭に座長がおっしゃったような、一時的な問題ではなく、そういう不況とか長時間労働とか、いろいろなことが重なってしまった、ある意味ではとても申し訳ない世代に対して、賃金が伸びないということが大きいとするならば、それは本当にこれからの世代に対して我々が何を考えていかなければいけないかという、とても大事なメッセージに見えるので。。。

○樋口座長 。。。もう 1 つ、正規と非正規の問題における賃金格差の問題については、この間の OECD のレポートで、やはり日本は個人単位で見たときの賃金格差は非常に大きいが、世帯で考えると、安定している夫と非正規の妻とが結婚しているカップルにおいては非常に差が小さい。ただ、単独世帯が片方で増えてきている中で、従来とは違った動きというのが起こっているのではないかということで、世帯単位の貧困の問題と、低賃金の問題というのが必ずしも一致しないというのが、日本の特徴だというような記述があると思うのです。

ここで考えていくのは、労働市場の問題としてということだから、当然世帯の所得格差の問題というのもあるけれども、どうしても個々人についての賃金の問題が、これだけ大きな差があっていいのかという。。。

他の記事:

1。なぜ賃金は上がらない?/人手不足倒産の原因

世の中には、人手不足と低賃金が両立してしまう分野がある。介護や警備、海運などだ。 なぜ労働の供給が足りないのに価格(=賃金)が上がらないかといえば、労働市場は「自由な市場」ではなく、需要と供給による価格調整のメカニズムが働かないからだ。

a)会計の観点からいえば、人件費を支えられるほどの売上を確保できない、つまり生産性が低すぎる会社だから、人手不足で倒産する。「人手不足なら賃金を上げればいい」と無邪気に言うが、人件費を商品の価格に転嫁できるとは限らない。売上を伸ばす余地がなく、経費削減の余地もないという生産性の低い事業は、賃金水準が高騰すると人手不足を解消できなくなり、事業を継続できなくなる。

b)賃金に下方硬直性がある理由は、だいたい3つぐらいある。団体交渉(労働組合)、法規制(最低賃金労働基準法など)、デフレだ(賃金が下がれば、労働者の購買力も減り、物価水準が下がってしまう)。しかし、これは現代の日本人の肌感覚ではあまり説得力を感じられないと思う。というのも、バブル崩壊以降、日本人労働者の名目賃金は減り続けているからだ。サラリーマンの平均年収は1997年の467万円をピークに下がり続け、現在では415万円だ非正規雇用が増加したことを考えれば、労働者全体の収入はもっと減っていてもおかしくない。

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c)「生産性の低い企業」が現れる理由の一つは産業の長期均衡。どんな産業も、勃興した直後はブルーオーシャンだ。あまり費用をかけずにジャブジャブと儲かる。ところが新規参入が増えるにつれてレッドオーシャンと化していき、生産性が低くなる。とくに、損益分岐点の売上数量がごく小さく、その生産技術を誰でも使うことができて、なおかつ新規参入と退出が自由な分野は、やがて「産業の長期均衡」に到達してしまう。超過利潤がゼロになってしまう。賃金水準や石油価格が上がった際に、コストの増加を利益で吸収できなくなる。債務を積み上げて何とかしのぐことになり、最終的には倒産する。人手不足による倒産は、根本的には石油価格の高騰による倒産とそれほど違いはないと思う。第二次大戦後の日本の「二眼レフカメラ」は勃興した段階では多大な超過利潤を出せたが、新規参入が増えるにつれて次第に価格が下がり、最終的には超過利潤がゼロになる産業の典型的な例ではないだろうか。また最近では、ソーシャルゲーム業界が「産業の長期均衡」に似た現象を経験している。

おそらく介護や警備、牛丼チェーン、引っ越し業などの分野は、長期均衡に近づいている業界なのではないか。競争の激化により利益が薄くなり、人件費を引き上げることができない水準まで生産性が悪化しているのだろう。海運については事情に暗いのでよく分からないが、似たような状況が生じているのかもしれない。

(「生産性が高くなる」というのは、経済史の観点から見れば、労働を資本(=機械)に置き換えることとほぼ同義だ。)[2]

2。市場の「脱ブラック化」が、「人手不足」を解消させる

政府は人手不足の状況を改善するために、少子高齢化が問題の背景に存在しているという認識の下「外国人労働者を増やす」と同時に「一人当たりの生産性を上げる」技術開発の取り組みを進めようとしています。しかし、今、日本で起こっている「人手不足」問題は、ただ単に「少子高齢化」が原因なのではなく、長く続いたデフレからの「脱却」プロセスにおける必然的帰結なのです。

(ステップ1)デフレで過当競争が生ずる 
1998年後、それまでのインフレから一転してデフレになり、それ以後、各企業の業績は悪化、賃金は低下していきます
(ステップ2)過当競争が「ブラック企業」を生み出した
「過当競争」下では、各企業は「生き残り」をかけ、「倒産するよりはマシ」とばかりに、対価(価格)には見合わない「過剰サービス」を提供するなったのです。そのシワは全て労働者に行きます。労働者は皆「仕事が無いよりはマシ」とばかりに、安い給料で過剰労働サービスを提供するようになっていきます。
(ステップ3)20年デフレが、あらゆる市場を「ブラック・マーケット」化させた
「ブラック企業」は労働者にとっては最悪ですが、消費者・顧客にとってみれば「良質のサービスや商品を安くて売ってくれる企業」。つまり、ブラック企業は高い「競争力」を持っているのです。
結果、現代の労働者は皆、(サービス残業等の形で)労働時間が長いわりに給料は安く、結果、「実際上の労働単価」が下がってしまうことになっていきます。
(ステップ4)ブラック・マーケットはわずかな需要増にも対応できない
デフレが産み出した「過剰サービスを供給するブラック・マーケット」は、現有人員をフル稼働させて、ようやく成立している「限界ぎりぎり」のマーケット。ですから、「これ以上の需要に対応する」ことができません、という「構造的欠陥」を抱えています。したがって、ブラック・マーケットでは、需要が僅かでも増えれば、瞬く間に「人手不足」

そしてそのための処方箋としては、「各企業の『過剰サービス』を消滅させる事」(=企業の脱ブラック化)が必要であり、そしてそれを実現するために「各企業の『過剰サービス』を解消するため(=企業の脱ブラック化)の構造政策(規制強化や様々な行政指導等)」が求められています。

そうすれば、労働者に「余裕」が生まれ、その「余裕」を使って「需要増」に対応することが可能となり、人手不足状況は消滅するのです。しかも、こうすれば一人当たりの労働者が生み出す供給量(つまり生産性)も増進すると同時に、賃金も増進します。

3。お前らの賃金は上がらないのに「完全雇用」で人手不足の日本

“春闘を見るに、経済状況を反映してまずまずの戦果であり、一方で大手と零細・中堅の間での格差の是正や、働き方改革の流れの中で残業代の支払いや時間制限なども徐々に盛り込まれて、日本の労働環境も少しずつ変わってきているのかな、という感じでしょうか。労働組合もここが頑張りどころと言えます。ようやく非正規労働者の賃上げ率が正規雇用を上回って、格差是正というか正規と非正規の垣根をどう取っ払うかが肝になってきているのでしょう。

しかしながら、実際に統計を見てみると2月の完全失業率は2.8%、有効求人倍率も1995年ごろの水準に迫る勢いで人手不足が深刻化しています。コンマ何%で賃上げ云々と言っている場合ではないぐらいに働き手が必要とされているのに、思った以上に雇用の安定はまだ実現できておらず、働く時間は減らす方向へ動いています。さらに、労働人口も年間50万人ずつ減っていく中で、24時間営業を取りやめざるを得なくなるファミリーレストランなどの外食産業も増えてきました。先日取り上げたようにヤマト運輸ほか運送業も人手不足の割に賃金が大きく上げられる状況ではありません(「お客様は神様ではなくなり、戦後は終わった」)。本来なら、がっつり賃金が上がってきてもおかしくない水準であることには間違いありません。

働く女性を増やしたり、健康な高齢者にも働いてもらわなければならないわけですけど、16年10月の社会保険関連の法改正で制度変更があったわけですよ。それは、従業員501人以上の企業では、週20時間以上働くアルバイトやパートなどの短時間労働者も健康保険や厚生年金保険に入れてください、ということになったわけです。そうなったら週20時間以上働く長期バイトさんよりも、週15時間ぐらい入ってくれる主婦のパートさんを複数雇ったほうが企業としては良いという話になってしまうわけですね。また、健康上何があるか分からないシルバー雇用も、フルで働いてもらってうっかり倒れられて企業が医療費負担を強いられるよりは、嘱託で雇用して長くない労働時間で安く仕事をフォローしてもらおう、という流れになるのでしょう。平均賃金の伸び悩みの原因は、この女性や高齢者の労働市場流入で平均が押し下げられている部分が強くあります。保険料負担は企業にとってだるい。その分、パートさんの時給が上がれば良いのでしょうけど、賃金は上がらないのです。

つまりは、人手不足の日本は文字通り「完全雇用」なんだけど、人口も減っているので総需要が減少してて言われているほど売り上げは上がらない、という残念なスパイラルが発生しているとも言えるわけですよ。これから名目GDPが何%も増えるなんてアベノミクスを信じるのは大本営発表を聞いて太平洋戦争に勝っていると思い込んでしまう臣民のようなものです。安倍政権が能無しというよりは、できること全部やったって人口減少局面の日本が猛烈な経済成長するなんてシナリオになるわけがないじゃないですか、という話です。

上場企業の利益水準や経営内容を見ていても、傾向は何となく分かります。2016年は2年ぶりに上場企業の倒産は起きなかったけど、設備投資したり雇用を増やしたりするような前向きなお金の使い方よりは、いまある設備や資産をもっと有効に使おうという方向にシフトしている状態です。ドーンと賃金を上げようとするにしても、社会保障の受け皿を公的にしっかり用意したうえで、もう少し機動的に人を雇用したり解雇したりできる仕組みがないと厳しいのでしょう。”

[1]

「日本の非正規雇用が身分制が強く、生活保障の必要性が正社員との格差の正当化理由だったのに、能力という別の正当化ロジックで都合のよい使い分けがされてきた

実際のところ、非正規という身分を搾取しなければ、政府が小さく社会保障の貧しい日本では正社員の生活保障ができないですよね。この状況でおいそれと非正規の賃金を上げようとはしないでしょう。

日本がこんなに停滞しているのは、家父長制と身分制という類型の間で中途半端な状況に陥っているせいでしょう。家父長制は必ずしも上位者の恣意的支配を意味しない。むしろ共同体の仲間全体のための支配であり、仲間に対する庇護義務を負う。日本型雇用におけるメンバーシップ制はそのようなものだ。ただそのメンバーシップは成年男性にのみ開かれたものであり、フェミニズムから見ればホモソーシャルな支配だ。これに対して欧米は階級社会であって身分制原理が強い。

高度成長が終焉し、日本型雇用が崩壊過程に入ると、正社員の生活保障を維持するために身分制原理によって搾取する対象が必要になった。それが非正規雇用の増大という現象につながった。家父長制的な生活保障を維持するために身分制的要素を取り入れるというグロテスクな形になっている。

この状況から抜け出すには政府規模を拡大させて国が直接生活保障を行うしかない。しかし90年代以降新自由主義が台頭し、小さな政府路線という真逆の方向に動いた。これでは身分に基づく搾取を強化せざるをえない。その犠牲になったのが氷河期世代でしょう。

確かに高度成長が終焉して日本型雇用は維持できなくなり、そこからの脱却は必要だった。しかし小さな政府・構造改革という路線はむしろ事態をこじらせ、社会の停滞を招いただけだった。

この状況を打破するために必要な政府規模の拡大は、しかし家父長制を衰退させ、身分制的要素を強めることになるでしょう。それは欧米や戦前の日本のような階級社会化であり、抵抗は大きいでしょう。」

[2]

“そもそも「生産性が高くなる」というのは、歴史的に見れば、労働を資本(=機械)に置き換えることとほぼ同義だ。機械の使用が少なく、労働の使用が多い社会ほど貧しい。反対に、労働者1人に対する機械の使用量が多い社会ほど豊かだ。

現代では労働者1人あたりの資本(=機械)の使用を増やすことで、労働者の数を節約できるようになった。現代のトラック運転手は、たった数人で18世紀末の労働者3000人以上の仕事ができる。だから18世紀末の労働者よりも高額の報酬を受け取ることができるし、豊かな生活を営むことができるのだ。

「機械に仕事を奪われる」と考える人もいるだろう。その考えは、半分は正しい。革新的な技術の導入によって、短期的には失業に追い込まれる人が出てしまう。たとえば、かつて沖仲仕という仕事があった。港で輸送船の荷物の積み替えをする人々たちだ。ところが貨物コンテナの発明により、彼らの数は激減した。コンテナをクレーンで吊って移動させられるようになったので、砂糖の袋を1つひとつ運ぶ必要がなくなったからだ[9]。彼らの作っていたコミュニティも、文化も、丸ごと消えてしまったという。

しかし「機械に仕事を奪われる」という発想は、半分は間違っている。革新的な技術は、長期的には新たな産業と雇用を作るからだ。大型トラックが発明されたことで、荷物を肩に運ぶ労働者はいなくなった。代わりに巨大な自動車工場や、自動車整備士、そして現代的な物流産業が生まれた。トラックの運転手も、彼らの勤怠管理をしている事務のおばさんも、18世紀末には存在しなかった職業だ。

繰り返しになるが、労働者1人あたりの資本(=機械)の使用が多い社会ほど豊かだ。貧しい社会では、それが逆になる。1950年代のインドのように安価に使える労働力が膨大にあれば、経営者たちは機械の利用を増やそうとしない。資本を投下するよりも、労働力を使ったほうが安上がりだからだ。

18世紀末に始まった産業革命以降、私たちは持続的な経済発展を経験してきた。その背後には、人件費と技術革新の正のフィードバック・ループがあった。教育水準の上昇や少子化により労働者の賃金が上がると、経営者には労働を減らして資本(=機械)の利用を増やすというインセンティヴが生まれる。それが技術革新と、新規産業の発展、そしてさらなる人件費の高騰をもたらし、ますます資本の利用を増やすインセンティヴが強くなる。このループが200年以上続いた結果、私たちは現在のような豊かな生活を手に入れた。このループは今でも回り続けている。”

2017/5/30 update

有効求人倍率、バブル期超え 4月1.48倍

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Japan looks to solve puzzle of slow wage growth

“The theory, laid out by several BoJ policy board members in recent minutes of their meetings, is that after decades of operating in a sluggish economy, companies are wasteful in their use of labour and have a lot of pent-up ability to raise output per worker. By abandoning less productive work, they can avoid paying more for staff. One example is retail.”

I totally disagree with this theory, which basically says that as part of employments in Japan have long been doing nothing but wasting time in their office, the firms thus are able to avoiding paying more by driving them away back home. If this holds true, why do they at first need more people?

Yes, Japan has ample room to raise production per worker. But if Japanese firms could accomplish this, why the hell do they have the lost 20 decades. An extreme issue of over-worked women’s suicide changes the rigid system way little than people outside Japan think.

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これだけ深刻な人手不足なのに、いつまでも賃金が上がらない理由

“よく賃金が上がらないのは、非正規雇用が増えたからだといわれる。しかし、正社員と正社員以外にわけて賃金の動きをみても、両者とも人手不足の割に、顕著な増加はみられない。

そもそも本当に人手不足なら、もっと非正規から正規に切り替えられる人が増えて、それによって賃金が上がってもよさそうなものだ。しかし、そのような正規化の動きの広がりを耳にすることも、あまりない。”

“だから、賃金が下げられない硬直性があると、今が人手不足でも将来また不況になることをおそれる企業ほど、おいそれとは賃金を上げられないのだ。働き手も、給料が下がりさえしなければよいので、多少の不平はあっても、それほど賃金が上がることには執着しない。

実際、企業データを用いた分析からは、過去に月給の賃下げを行わなかった企業ほど、今回も賃上げをしない傾向がみられると指摘されている。賃下げが出来ない場合、企業は、将来の賃金調整の余地を残すため賃上げに慎重なることも、理論的な分析から主張された。

働き手は月給が下がることはかなり嫌うのだが、ボーナスの増減はそうでもないようだ。人手が足りなくなったり、業務量が増えたときには、企業は月給アップに代わってボーナスをたくさん支払う。”

しかしこの下方硬直性の論説には二つの疑点があります、1)なぜ日本が顕著;2)あくまで理論、企業は本当に将来の不況を考えたのか。日本の賃金の硬直性には別の理由もありうる。

“加えて多かったのは、過去にない「高齢化」の進行。年功的に上がる賃金や、生え抜きの長期雇用の傾向は、以前ほどには日本の企業でみられなくなったという声も多い。年々増え続ける積み上げ型の賃金制度を企業は採用しなくなり、かわりに一定の範囲内で増減するゾーン型の賃金制度に変更する場合がみられる。

おおざっぱにいえば、バブル入社世代までは、日本的雇用システムとよばれた年功賃金や終身雇用の恩恵にあずかることも多かった。そんな恩恵世代の男性が、2000年代後半以降、高齢者となり、徐々に定年退職を迎えるようになる。年功賃金が変化してきたといっても、それでも正社員である彼らの賃金は、若い社員に比べれば、圧倒的に高い。定年によって、高い賃金を得ていた人が、統計のなかから一気に退場していくのだ。当然、平均でみた賃金には、強い下方圧力がかかっていく。

さらに定年で辞めた人たちの多くは、そのまま引退することを選ばない。定年後も嘱託などのかたちで会社に残り続けるか、別の会社で別の仕事に就くことになる。共通するのは、そんな高齢者は、きまって非正規雇用になるということだ。

賃金が上がらないのは、非正規雇用が増えたからだという人もいるが、どこで増えたかといえば、実は高齢者の間で増えた。しかも団塊の世代を含む60代の非正規雇用が、一気かつ大量に増えたのだ。”

“人手不足は、20代などの若い働き手について、特に深刻だ。少子化による人口減少の影響を考えると、若者の賃金は、もっと増えてもよかった。

しかし、若者の背後には、低賃金の大量の高齢者が、潜在的な競争相手として存在している。政府は労働力人口の減少に対処するために、一億総活躍社会という看板も同時に掲げ、女性や高齢者の労働参加を促そうとしている。皮肉なことに、高齢者の労働参加が続く限り、非正規雇用の賃金はなかなか上がらない。”

“氷河期世代は、新卒時の就職活動のときだけでなく、その後の職業人生でも、以前の世代に比べて多くの困難を経験してきた。”

確かに年功賃金や終身雇用の恩恵にあずかる男性の定年退職は統計上の影響が大きい、また女性や高齢者の労働参加は若者の賃金の上昇を阻止するのも事実だが、私個人の観察によると正社員になった若者の賃金が上昇したとは言い難い。したがって、日本的雇用システムは一体どれくらい変わったのは問題点である。むしろ、年功賃金や終身雇用はまた大きく起用するからこそ、若者の賃金は人手不足があっても従来のルールにしたがって市場需要に対する柔軟な調整ができなくなったから上がらない状況に落ちいたのではないか。氷河期世代の状況もまさにこの制度の頑固さを示しているのではないか。

 

2017/06/04 update

添加一个国际对比视角来看日本问题。

When can women have it all

关于工作近几十年有那么两大趋势:

1工作时间越来越长,加班越来越多。(Kuhn&Lozano, 2008)
2 工作时间长短对收入的影响越来越大。(Cortes&Pan, 2007)

背后的原因可能是尽管技术进步增加了社会总体的岗位数量,但增加的岗位主要是在高收入和低收入这两段(Gregory、Salomons&Zieharn,2016)。这种从纺锤型社会,向哑铃型社会的过渡,是要加剧大家的竞争的。(也有社交网络对机会成本的发现的影响

而高收入的岗位增加会导致企业调整工作的其它条件提高利润。最明显的一点就是时间安排。一个是实际工作时间的延长,一个是工作时间灵活化,一个是响应时间的缩短。所以现在的工作变得更有“竞争性”了。(Goldin 2014,Cortes&Pan 2017)

这种全球的情况和日本似乎是很不一样的。虽然手头没去找直接证据,但是我们不难联想出由于日本的薪酬和人员晋升制度,纺锤到哑铃的路径的上端被限制了,高端职位并没有被灵活给予高收入,而下端的临时雇佣大力发展,从而从整体上限制了工资的提升。从产业上,这可能降低日本的高端人力资本密集型产业如投行软件等的国际竞争力。

 

 

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